テリックス、欧州に放射性医薬品製造施設を開設

テリックス、欧州に放射性医薬品製造施設を開設

メルボルン（オーストラリア）＆リエージュ（ベルギー）｜2023年6月8日

テリックスは、ベルギーのワロン地域の副大統領、経済・研究・革新・デジタル・農業・都市計画・地域計画担当大臣であるWilly Borsus氏を迎え、首都ブリュッセルの南に位置する同地域（Seneffe）にテリックスの放射性医薬品製造施設であるテリックス・マニュファクチャリング・ソリューションズを正式に開設しました。

ベルギーの「ラジオファーマ・バレー」の中心に位置する2,800平方メートルの敷地を有する同施設は、欧州最大の放射性医薬品製造施設の一つです。この施設は、欧州・中東・アフリカ（EMEA）地域等に向けた放射性同位元素および市販・臨床用製品のテリックスの主要製造拠点として機能する予定です。

放射性医薬品は、標的薬剤（低分子または抗体）を用いて、体内のどこにがんがあるかにかかわらず、がん細胞に標的放射線を照射するものです。これらの薬剤は、イメージング（診断）や治療に使用することができます。「セラノスティックス」とも呼ばれるこのアプローチは、治療方針の決定や患者様に合わせた個別治療の提供に役立つ可能性を秘めています。

EUでは毎年、放射性医薬品を用いて1,000万件以上の画像診断が行われています。[1]さらに、画像診断と治療薬の臨床開発活動が活発化していることから、放射性医薬品による治療を必要とする患者数は世界中で増加すると考えられています。業界アナリストの報告によると、放射性医薬品の市場は急速に拡大しており、2021年の世界売上高は前年比10％増の60億米ドル（約8,500億円）、2031年には年間330億米ドル(約4兆6700億円)に達すると予測されています。[2] 　これらの製品への需要が高まる中、患者のニーズに確実に応えるためには、サプライチェーンと製造への投資が不可欠です。 

「最近のコロナウイルス感染症等の事象から、患者様がこの新世代のがん治療にアクセスできるように放射性医薬品開発の投資しなければならないことを学びました。放射性医薬品はジャストインタイムの製造と複雑な物流システムが必要なため、この分野で長期的に商業的に成功するための基盤を構築し、患者様のニーズに応える事が重要です。」とテリックスのEMEA(欧州、中東及びアフリカ)地域担当CEO(最高経営責任者)、Raphael Ortizは述べています。

テリックスは2020年4月に35,000平方メートルの敷地を取得しました[3]。2台のサイクロトロンの安全な撤去を含む大規模な再開発の後、テリックスの研究、開発、商業および臨床活動に必要な広範な放射性同位体の製造に関する施設ライセンスが更新されました。

「ブリュッセル南部にあるテリックス・マニュファクチャリング・ソリューションズのような施設は稀有な存在です。この規模の施設を建設し、当社のライセンスで許可されているさまざまな放射性医薬品を製造するライセンスを取得できる場所は、世界でもほとんどありません」とテリックスのグループマネージングディレクター兼CEO(最高経営責任者)であるChristian Behrenbruch博士は、述べています。

現在完了している第一段階の増設では、9つのGMP[4]製造ライン、2つの研究開発ラボ、品質管理ラボ、テリックスの業務する能力を備えた倉庫スペースが設置されました。最初のGMPラインの1つは、産業界や研究機関のパートナーや共同研究者が使用するための専用ラインとなります。また、同施設に計画されている2台のサイクロトロンのうち、1台目を設置するための準備も進めています。ワロン地域政府の助成金とワロン輸出・投資庁（AWEX）は、当社の自己資金に加え、融資ソリューションへのアクセスを提供し、第一段階の増築工事をサポートしました。

ベルギーの 「ラジオファーマ・バレー」は、テリックスのイノベーションの成功に欠かせない場所です。　この施設がテリックスのために存在するだけでなく、産業、学術、臨床にまたがるパートナーや共同研究者のための研究、開発、製造のハブとして機能することが、私たちのビジョンなのです。ワロン地域政府とAWEXの支援に感謝するとともに、この施設が我々の産業の継続的な成長に貢献し、この地域へのさらなる投資を促進することを期待しています」とRaphael Ortizは付け加えました。

ワロン地域の副大統領（経済・外国貿易担当大臣）Willy Borsus氏は、次のように述べています。「ベルギーは、ヘルスケアにおける核科学技術のパイオニアとして誇り高い歴史を持ち、ワロン地域には、ラジオファーマ・バレーと呼ばれる研究、生産、人材、輸送の重要な拠点があります。我々は、放射性医薬品の現在および将来の有用性と、地域社会がこれらの革新的な技術にアクセスできるようにするための能力増強の必要性を認識しています。我々は、この最新鋭の施設の設立を通じて、ワロン地域の研究、雇用、教育、健康など幅広い分野で人材を惹きつけ、投資の増加を促進するテリックス社の当地域へのコミットメントを歓迎します。」

現在、ベルギーは医療用アイソトープの供給、放射性医薬品や核医療機器の製造において世界をリードしており、核医療部門は間接的に約5,000人、直接的には2,600人以上の雇用を生み出しています。テリックスは、現在、ベルギーで32名の従業員を雇用しています。この数は、商業活動の発展に伴い、大幅に増加することが予想されます。

メディアリリースの全文はこちら（英語）

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[1] European Commission, Joint Research Centre, Mario, N., Kolmayer, A., Turquet, G.et al., Study on sustainable and resilient supply of medical radioisotopes in the EU https://data.europa.eu/doi/10.2760/911131

[2] Medrays Intell Nuclear Medicine market report 2022.

[3] Telix ASX disclosure 3 April 2020.

[4] Good Manufacturing Practice, subject to certification.Top of Form